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漆画家
「ボーウェル彩英子氏」

近年のベトナムブームでベトナムで漆絵が伝統工芸であることは、広く知られるようになりました。その漆絵に魅了され、1995年よりハノイに移住し伝統漆絵の世界に入った日本人女性がいます。小学館「和樂」で漆画家:ボーウェル彩英子氏を取材した知人のライター(岡田理恵さん)を通じ、彩英子氏にお会いすることができました。美しく優しい表情の奥に見える芯の強さがとても魅力的な方でした。その掲載ページ(写真撮影:オーナー金子です)をご紹介します。

小学館「和樂」
2002年12月号より

 今でこそ観光客が数多く訪れるベトナム。そこに1996年から住み、独自の漆画の道を模索し続けている日本人女性がいる。ボーウェル彩英子さん(34)はベトナムで6年あまりを過ごし、この夏出産のため一時帰国。年末には家族3人で、再び古巣であるベトナムの首都ハノイに戻る。
 おもに動物をモチーフに数多くの作品を手がけ、ベトナム国内ですでに4回の個展を開いた。昨年開催された日本での初個展は活況を呈し、伝統的なベトナムの天然漆にこだわりながらも、赤色や黒色といったこれまでの漆のイメージを一新する作品は、ベトナムだけでなく漆画の世界でも注目を浴びている。
 漆、と一口に言ってもベトナムの漆には天然のものと人口のものがある。商業ベースに乗っているのもは人工のものがほとんどだ。彩英子さんは天然のベトナムの漆のよさが消える危機感を強く覚え、この芸術を存続させたいと願っている。 「誰かがベトナムの本物の漆を伝えていかないと」という彼女の使命感もさることながら、航空会社の元客室乗務員という経歴もめずらしい。なぜベトナムに?という素朴な疑問をぶつけてみた。
 彩英子さんが仕事を辞めてハノイを訪れたのは1995年。もともと絵が描きたくて仕事を辞めて旅をしていたのだが、そこで漆と出会った。漆の知識は全くなかったのに、ある作家の作品に強く惹かれた。「今振り返ってみると、漆のことを知らず、先入観がなかったのもよかったかな」と言うが、ハノイの街も妙に肌に合っていたようだ。
 ベトナム南部の商業都市ホーチミン市に比べ、北部ハノイの時間はゆっくりと流れている。彩英子さんはこの街でバイクを乗りこなし、今では流暢なベトナム語を駆使しながら漆画家としての修業、そして独立へと確実にステップを踏んできた。街にはどこでも知り合いの芸術家仲間がいて、自分の作品を飾ってくれているお店もある。「私を画家としてみている人がいっぱいいて、私の作品に期待する人がいる」という刺激ある生活、それがハノイにある。日本で出産を終えた今、これから先ハノイに2年間と期間を限定して住む予定だ。その間は芸術家としてだけでなく、職人としての技、知識をもっと吸収するつもりだ。
 日本を離れることに抵抗がないのは、自分の血の中にしっかり日本があるからだとだと言う。そしてベトナムはすでに第2の故郷。だからベトナムから離れることも以前ほど寂しくは感じないそうだ。10年後にはまたどこか違う国に住んでいるだろう、という彼女。その地から自分の活動だけでなく、ベトナムの芸術仲間の様子を世界に紹介したい、と思っている。「彼、彼女らの言葉を話し、彼らの仕事内容を分かっている私だからこそできること」
 色んなことに手を出したくなる性格、と分析するが、そんな自分がこれしかない、というものに巡り合ったのがベトナムの漆。これを守り伝える役目を担うのが、彩英子流のベトナムへの恩返しなのかもしれない。
(小学館「和樂」-【waraku topics 躍動するアジア】より

     
【筆者プロフィール】
岡田 理恵
(おかだ りえ)
東南アジア生活8年目になるマレーシア在住のライター。共著に『アジアのツボ 東南アジア』(スリーエーネットワーク)がある。私、オーナー金子は理恵さんと96年から99年までベトナムホーチミンで同じ時を過ごしました。『アジアのツボ 東南アジア』では、現在お住まいのマレーシアのことを書かれていますがいつかベトナムの本も出してほし〜と節に願ってるのです。理恵さんの文章は、独特の視点で綴られていていつも惹きこまれてしまいます。特に体当たり(笑!)の食べ物系のお話が個人的には1等好き!私もアジアの美味しいもの好きですが、この人にはかなわない!ベトナムのお話書かれたら、ぜひ「マダムヴェトナム」でも紹介させてくださいね!
     


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